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「で、この両方の円の中心になる位置にちょっと広い洞穴があるから、ヤツはそこを根城にしてるだろう。
大まかな構造はこれで間違いないと思うけど…、念のために、決行直前にできるだけ偵察はしておきたいと思ってる。
…といっても俺はそういうの苦手だから、そのへんは得意な人に頼むことになるけど」
「得意な人、のぉ…」
前田が意味ありげにつぶやく。森野はそれが少し気になったが、永川が構わず話を続けるようとするので、ひとまず置くことにした。
「この構造を踏まえてどうしたいかというと、余計なスラィリーは極力相手にしたくないから、警戒線を破って向こうに感づかれることを避けたい」
「それはそうだが、破らなければ、近づけないのでは?」
「そう、だから今まで攻めあぐねてきたんだけど、そこはほら、あんたの出番」
「???」
永川の言うことが理解できず、森野は目をぱちくりさせる。
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